3月11日付けでBi2Te3超薄膜の電気伝導についての論文がScientific Reports誌に掲載されました(doi.org/10.1038/s41598-021-85078-9)。Bi2Te3は3次元トポロジカル絶縁体として注目されている層状化合物ですが、今回の論文では、トポロジカル絶縁体としての性質を保てないほど薄い厚さ(5 nm以下)の薄膜とすることによって、伝導帯バンド(CB)が非常に高い2次元金属伝導性を示すことを実験(LEED, ARPES, UHV-4PP)と第一原理計算から明らかにしています。後日、詳しい解説を研究紹介のページに載せる予定です。

本筋ではないですが、Fig.4の美しいARPESのバンドマップとバンド計算と一致も見どころかなと思っています。層状化合物の薄膜でブリルアンゾーン全体のバンド構造がこれだけくっきり観測されている例は稀だと思います。最適な成膜条件を探索してくれた大林くん(実験当時、修士課程学生)に感謝です。